つかの間の閑散期

先週、今年何度目かの繁忙期を終え、少し時間に余裕ができました。と思ったら、少し風邪気味のようでもあり、ひたするうがいに徹して、風邪気味が、気のせいになるように努めている。

近所の神社では秋祭りらしく、昨日から神輿囃子が時折聞こえてくる。夏の実感が薄いまま秋に突入した感はあるけれど、今朝は、久しぶりにのんびり気分にひたっている、こう朝を迎えることができたのは、何十日ぶり、いや何ヶ月ぶりだろうか。・・・しかしこれが昼過ぎになると、あ~あ、明日からまた仕事かぁ~と憂鬱モードに入ってしまうのだから、やはり常に万物は流転しているらしい。

さて、ピアノを習い始めてはや半年。にわかに発表会の話が浮上した。まだ出ると決めたわけではないけれど、ピアノの先生の上手な勧誘に心動かされ、出ようかなぁ~とややその気になりつつある。その気になりつつある要因の一つは、暗譜しなくて良い、というこの一言。世の中には、暗譜しないで楽譜を見ながら発表会で弾くのを、愚の骨頂とひどくバカにする傾向があるけれど、人前で暗譜を始めたのは、かのフランツ・リストであったらしい。それまでは楽譜を見ながら演奏するのが当たり前であったようだ。ゆえに、リストのサービス精神をまねる必要があるやなしや、と問いたい。となぜいばってこんなことを言うのかというと、私は暗譜に対してトラウマがある。遡れば中学3年生のときのこと・・・。あまりに悲しい記憶なので、ここから先は書けないが、とにかく、暗譜恐怖症なのである。その私に暗譜しなくて良いと言ってくださった先生のお顔には後光がさしていた。

発表会に出る、出ないにかかわらず、曲だけ決めようということになって、一応、先生お薦めの一曲に決まった。楽譜を買って練習し始めたが、何となく気がすすまない。美しいメロディーのゆっくりした曲なのだが、、日頃繁忙期のせわしない時間の流れで生活している私には、「ゆっくり」というのが、合わないらしい。そこで買ってきた曲集をパラパラめくっているうちに、ちょっとせわしげな感じの曲に出くわした。・・・ん?・・・♬♬~~あら? 弾ける? あれれ? 何となく弾いたことがあるような気がする・・・♬♬・・・いつ頃弾いたのか、まったく記憶がないのだが、楽譜を目の前にすると、頭より指が先に動きだして、音を鳴らしている。弾いているうちに、そういえば、弾いたことがあるような、ないような、という程度に記憶がかすかによみがえった。しかし、その記憶はかすみの中のままはっきりしない。しかし、当時ものすごく頑張って練習したらしく、指はしっかり記憶しているのだ。子どものころ習っていたピアノの先生はものすごく怖かった。パトリック・ズースキントの「ゾンマーさんのこと」という短編に出てくるピアノの先生とそっくりなほど怖かった。その先生が「指が覚えるまで練習しなさい」と言っていたような気がする。なるほど、こういうことだったのだ。頭の中の記憶はほぼ消えてしまっているが、指がしっかり覚えていたのだ。・・・と感心するけれど、やはり暗譜恐怖症の克服とは無関係のようだ。心の傷というのは、完全に癒えるということはないようだ。

2017-09-10 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : konekosan