日下武史という俳優

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2017年5月15日に日下武史さんが亡くなったとニュースで知った。日下武史という俳優・・・中学生の頃からのファンだった。その存在を知ったのは、中学2年生の時だったと思う。その頃はNHKの教育テレビは今よりも良質で、今よりももっとためになる放送番組がいろいろあったが、その教育テレビで、劇団四季の劇場中継を見た。シェークスピアの「ヴェニスの商人」だった。シャイロックを演じていたのが日下武史さんだった。「ヴェニスの商人」が悲劇的に演出され、幕が下りるころには観客に同情、憐憫の念を頂かせたシャイロックに、ひどく感激したような気がする。以来、日下さんのファンになった。いやいや待て待て…もしかすると「桜の園」のロパーヒンを、これも教育テレビだが、見て以来のファンだったかもしれない。いい加減なファンもいたものだ。それはともかく、「かもめ」のトリゴーリンもよかった。初めて劇場で見たのは「この生命誰のもの?」の初演であった。初演のときは、原作に忠実で、役名は外国人名だったが、再演からは日本人名になっていた。日本人名になったのは見たことがないが、変える必要があったのだろうか。ま、それはともかく、FM放送のラジオも聴いた。ラジオ・ドラマで芥川龍之介の「河童」が放送されたのも、聴いた。

演劇を見ている最中は、それほどうまい役者だとは思わないのだが、見終わった後で、じわじわとよかったなぁという思いが湧き上がってくる俳優、というのが、私の日下武史像である。

「ヴェニスの商人」がしばらくぶりに再演されたとき、私は大阪の今はなき近鉄劇場で見た。中学生の頃よりは、少し成長していたが、やはり日下さんの演技に、後からじわじわ感激した。お芝居が終わり、多くの観客の中に混じって、出口にむかってぞろぞろ歩いていると、長い髪の中学生と思われるかわいらしい女の子が、母親らしき女性に話かけている声が聞こえた。「日下武史って上手いね」。…お嬢ちゃん、なかなか見る目があるね、と私は心の中で彼女に話かけた。…日下武史さんの訃報のニュースを聞きながら、そんな記憶がよみがえってきた。

 

 

 

2017-05-18 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : konekosan